他言語での大学受験まとめ

大学受験を英語以外の言語(フランス語、ドイツ語、中国語)で受ける「他言語受験」についての情報をまとめています。記事執筆者は全員、この形式の受験の経験者です。

🇨🇳私大受験について

執筆者:MT

 

※注意※

以下の記事は2020年度に受験した中の人が書いたものであり、主観的な内容も一部含まれます。また、最新の情報は必ずご自身で、大学のホームページにて確認してください。

 

英語ではなく中国語で受験できる私立大学を紹介していきます。

 

早稲田大学…文化構想学部、文学部、商学部、法学部

センター試験における中国語の点数を独自の方式で圧縮して外国語の点数として利用するので、外国語の個別試験はありません。(また1限目の外国語の試験が無く、2限目の試験から途中入室することになるのでドイツ語・フランス語・中国語利用の受験者で一室にまとめられます。)

 

センター試験200点の点数を外国語個別試験の得点に直接換算するわけではないので、大きなアドバンテージを獲得出来るわけではありません。目安としてはセンター190点で早稲田外国語配点の50~60%の配点です。

※ドイツ語・フランス語 と異なり、政治経済学部教育学部の受験が出来ません。

 

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慶應義塾大学…文学部

 

→ドイツ語・フランス語受験と異なり、法学部を中国語受験することは出来ません。ドイツ語・フランス語受験者と同様に中国語受験者専用の個室に案内され試験を受けることになります。

問題は拼音を中国語に直す、中国語を拼音に直す、中文和訳、和文中訳、長文要約といった大問で構成されます。

難易度は中国語検定2級程度。

🇨🇳東京大学二次試験について

執筆者:MT

 

※注意※

以下の記事は2020年度に受験した中の人が書いたものであり、主観的な内容も一部含まれます。また、最新の情報は必ずご自身で、大学のホームページにて確認してください。

  

まず、東大は差し替え(大問1~3を英語、大問4、5を中国語)で受験できるし全部中国語で受験することもできます。差し替えでは英語のリスニングを回避できませんが全部中国語受験だとリスニングはなくなります(中国語も)

○私の中国語力
記事の信憑性の参考にしてください。(ただし資格試験と東大の問題は傾向がかなり違います)
高2で中検1級に合格(リスニング98、筆記90、満点は両方100)
高3でHSK6級288スコア(満点300スコア)
東大入試中国語93/120点

○過去問の入手
東大新聞の「前期入試問題解答号」に載っていることが多い(許可が取れず載っていない年も多い、またほとんどの年で売り切れていて購入するなら急ぐべき。生徒の自作解答がのっているが非公式で間違いもたまに見られるがほとんどは合っているので信用できる)。また東大で中国語受験した先輩から裏ルートで入手できる(15年分ほどあり)


○難易度
中国語検定1級(年1回実施、合格率1~5%)なみの翻訳力と長文読解力、および中国語検定準1級(合格率15%前後)の語彙力(成語量は準1の半分程度)が必要である。しかし近年の第一問評論文は中検1級をはるかに超える難度で2019、2020は中検1級の文章難易度の3倍は難しい(言語的に難しいのでなく内容的に難しい)。ただしそれ以前の文章は中検1級よりちょっと難しいか同じ程度である。

○分量
上記のように0から勉強を始めるとしたら難易度は極めて高いと思われるが実際は0から勉強して受ける人はほとんどいないく、ネイティブの受験が多く、分量は英語のように多いわけではなく、時間配分を間違えなければ時間内に解ききれないことはない。(しかし2020年度の出題は分量も多く難易度も高く時間切れになりやすい)単純に翻訳しにくい慣用句が少し入っていたりする質的な難しさが目立つ。ただし翻訳量が多いのでだらだら解いていたら当然時間切れになる。

○問題構成
第一問:200字要約
文章量

<分析>

文章字数(大体の値です)
2020年   36字×27

平成31   36字×30行(過去最多:約1100字)
  30   36×19行

  28   36×24行

  27   36×21行

  26   36×23行

  25   36×23行

  24   36×16行

  23   36×22行
見ての通り分量は2019と2020で増加傾向であるが、この先どうなるかは不明。
また最近は文章自体の難易度が上がり、2020年は「文化現象を研究する際の注意点と地域文化に潜む国家概念」という内容の抽象的な文章が出題された。語彙自体は大して難化していない。

第二問:和文中訳
分量は不安定だが2020では400字程度の日本語の文章。少ない年は200字程度になることもある。文章難易度は年による。

第三問:文法問題
主な出題内容は
漢字の読み書き、ピンイン、成語の訳、やや長く難度の高い並べ替え、穴埋め、段落整序
並べ替え問題と成語(四字の故事成語)訳はかなり難しいがそれ以外はネイティブなら9割正解を狙える。

第四問:中文和訳

分量は不安定だが2020は220字程度。多い年は300字以上、少ない年は200字前後である。
小説の訳が多いため難易度はやや高めである。たまに「山墙(訳:妻側)」のようにどう考えても訳せない難単語が紛れているのでそれは捨てるか意訳するかごまかす。

第五問:文法問題(稀)or 並べ替え問題(近年はほとんどこれ)
かつては文法問題として作文(例:反復疑問文を用いて作文せよ)が出題された年が3年ほどあったが最近は消滅し、ほとんど並べ替え+訳(ない年も多い)である。以前はやや簡単な並べ替え問題が主流で他と比べて圧倒的に簡単な大問で点数の稼ぎどころであった。しかし残念なことに近年ではこの大問も難易度があがり、並べ替えの完答はネイティブでもかなり厳しくなった。そしてそれと同時に簡単な大問が消滅したことで非ネイティブ受験は一層困難となっている。


○ネット上の情報の信頼性について
ネットでは「英語より簡単」、「2外履修程度で高得点が取れる」など、素人(または中国語初心者、具体的には中検2級以下、HSK6級240点以下)の解答が散見されるが、実際中国語検定1級を体験した私から言わせてみると8割(96点)とるのはかなりきつい内容である。実際一個上の先輩と今年の受験生でもまだ8割越えは観測していない。くれぐれもネット情報を鵜呑みにしないで過去問をみて難易度を自分で体感してもらいたい(ただし逆にネイティブなら60点は固い内容である。合格者で70点以下はほぼいない。不合格者ではいるかもしれないが)。ではなぜこのような簡単だと言う人がいるのだろうか。それは彼らの採点基準の低さが原因だと思われる。彼らはわからないところは適当に意訳したりしてごまかしても減点されないと想定したり、並べ替えも自分の間違った解答が正しいと思い込んでしまいやすい(正解が公表されないので自分の答えが正しいと思い込み続けるのだろう)からだろう。しかし実際中国語受験者はほぼネイティブで、相対的に採点はきつくなるのが常識であるため、少しのミスでも減点される覚悟が必要だ。(ただし開示を見ると採点はそこまで厳しいわけでもないと思われる、おそらく英語と同程度か若干甘いくらいの厳しさ。)
英語の平均点である75/120点を取るのも中国語がペラペラであるのが大前提である。中検2級も取れないような生徒が受けても悲惨な結果(45点以下)になると思われる。

○難しい要因
難易度のほとんどは翻訳問題に由来する。東大はかなり古い小説の原文をそのまま翻訳させることがある。もちろん翻訳しやすい場所を選んで出題していると思われるがそれでもかなりきつい内容だ。受験期に中国の小説を読むひまがある受験生はほぼいないので日常で中国語を使い慣れている生徒でも翻訳はスムーズにいかないことが多い。実は中国語に翻訳しにくい微妙なニュアンスの日本語や、逆に日本語にしにくい中国語が散見されるところが厄介であり、必然的に意訳になりがちなうえ、翻訳の分量も英語の和訳よりはるかに多い(もちろん全体的な問題量は英語より少ない)。また外国語はある程度の実力(ペラペラレベル)になれば、長文読解は一番簡単になり、翻訳が一番厄介となる。東大はまさにその厄介な部分を出題してくる。また文法問題も並べ替えといえども中国語にしては時間を食う内容である。(もちろん簡単な年はかなり簡単であるが当たり外れが大きい)また中国語は方言による違いが大きく、そういうところは本来出題するべきではないのだが東大ではかなり細かい単語が出題されたこともある。(例:挺括)また英語のように「聞かれる文法」が固定されていない。学習指導要領がない以上、文法問題の対策は非常にしにくい(ネイティブにとってはかえってここが一番きついかもしれない。)また東大の最後の差し替えの文法問題は並べ替えが主だが、難しい年にあたったらネイティブでもかなり難しい。(実際中国語ネイティブで半分程度の正解率の人もいる。満点ももちろんいるが。)こればかりは中国語を知らない人には共感してもらえないだろうが中検経験者が解いてみればわかるはずだ。並べ替えたうえで翻訳させることもある。また200字要約の文章は高難度なもので、中検1級の長文よりも難易度は高い。またリスニングがないため簡単だといわれるがネイティブにとってリスニングは稼ぎどころである(中検1級のような高速ディクテーションを除く)。リスニングを無くして翻訳を増やしているのはかえって試験を難しくしているといえる。

○中国語受験がオススメな人の条件(75点以上とることを想定)
・ネイティブかそれに近いレベルであること
簡体字が書けること(「だいたい書ける」程度ではなく中国の標準的な高校生(受験期の高校生は大人よりも漢字が書ける傾向にある)が知っている漢字の7割程度を書けるくらい)
・日本と中国の慣用句・ことわざ・成語の意味を正確に知っているうえでそれを意訳でもいいから訳せる
・英語でどう頑張っても60/120点を超えられない(あるいは頑張りたくない)
・中国語検定準1級以上をとれる(HSKは6級で260以上はないときつい。中検準1級ギリギリ合格だときつい部分もあるかもしれない)
・方言ではなく標準語に毎日触れていること(しかし有名な方言で標準語化しているものは覚えるべき)
0から学んだ純日本人にはお勧めできない(家で毎日使っていたりしているなら別)
大学で4年間勉強した程度では受験しないほうが良い(難しい年は50点取れるかどうかの点数になる)

○近年の難化
さらにひどいのが近年の東大中国語の著しい難化である。特に第一問の要約がもはや語学の範囲を超えており現代文の中国語版だと評価されている(東大新聞)。実際私も要約は自己採点で半分行ってないくらいだと感じ、ネイティブでないと三分の一の点数すら取れないだろう(2020年は)。
特に2020年度は全体的に見ると他の年度より難しいセットで、第3問に成語の訳(過去にも数回)が登場し難化、最後の並べ替えも語数が多い上時間がかかり、細かい順序の違いが許容されるかで難易度が変わるが、原文と全く一緒な並びにするにはネイティブ以上の知識が必要(というか運、身の回りのネイティブにみせても間違えていた)、また肃静(suが正解でshuはダメ)のようにピンインのひっかけも多く、ネイティブは日本の「歩」と中国の「步」の違いなどを認識していないことも多く、やや難。第2問は「ミシン」「一ひねりした」「近代的解釈(英語だと簡単だが中国語にはしっくりくる訳がなく案外困る)」「熱弁」「謳い文句」などの難訳単語のほか、分量が過去何年かで見ないほど多く、難化。第4問の翻訳は古風の文章で、方言も散見され、「玉蜀黍」がトウモロコシであることは推測不可能とは言わないが、確信を持てる人はネイティブでも2割以下で、本番では迷うことだろう(ネイティブは普通「玉米」を使う)。また方言要素の強い出題は望ましくないことはいつも通りで、古風の文章の出題も中国語試験としては望ましくなく感じる。そして最強の難訳単語が「一拃」で、このような単位は日本になく、訳は「手で測った寸法単位」となるがそれで訳すと意味不明になる。よって東大新聞では「手のひらほどの高さ」と意訳しているが許容されるかは謎だ。また本番の緊張では文が小説の一部分であるということを意識できず細かいミスが出やすい。「白布衫(白い布のシャツ)」「 烫着」「 这当儿」「 蓄满的燥热」「 三尺五尺」「 揉成一团」「 几星」「 凉浸浸的淫了上半身」はいずれも難訳。第5問の並べ替えは例年より難しく、ネイティブ(私の両親)も7割くらいしか正解していなかった。東大新聞の解答も1番は間違っており、「十来人」は普通使わない表現で正解は「十来个人还没地方坐,再搬一些椅子来」だと思われる(自信なし)。難しい要因は「語数の多さ」「中国語の文法の不厳密性」「並べ替え問題の参考書が皆無なこと」があげられる。もともと中国語の文法は英語のように厳密でないため並べ替えは難易度が高く(何より時間がかかる)、中検の並べ替えのように簡単ならまだしも東大の並べ替えは語数が多すぎる。日本語で言うと
「あなた、論破、は、する、口達者な、できない、は、どんなに、は、人、彼女を、こと、でも、おろか」
を並べ替えなさいみたいなものだ。
そしてなによりも第一問の難化だ。実は2019年も第一問は難しいが今年の問題は中国語のネイティブ(中国在住)10人くらいのチャットグループに見せたところ「中国の国語より難しい(さすがに冗談だと思う)」「なにを言ってるのかわかりにくい」などの評価を得た。これを日本人(中国語ネイティブではあるが)にとかせるのはやや無理がある。
実際2020年の中国語を受けた私からすると自己採点は80点くらいであった(得点開示で93点と判明。採点は意外と甘い可能性が高いor難化したから得点調整されたか)。いろいろミスしたこともあるがかなり難しいと感じた。最後の並べ替えは満点か1ミス、第三問は9割正解だと思うが、翻訳問題と要約問題で半分くらいしか取れていないと思う。

○採点基準
問題の難易度に合わせて変わっていると思われるが全体的にはそこまで厳しくないと思われる。おそらく文章をいくつかのブロックに分けてブロックごとに点数を与えていると考えられる。

○一言
中国語の難易度自体はかなり高いと思われる(が、英語はみな0から学んでいるためそれを考えると英語のほうが難しい)。過去のインタークラスの中国語のネイティブでも普通に英語受験した生徒も多い。そして先輩に聞いたところ近年の難化は確かだそうで、中国語受験した先輩たちもほとんどネイティブかニアネイティブであった。点数は大体80~90に集中するようである(そもそも75点以上取らないと英語以外を選ぶ意味がなくなる)。また、将来的に英語は必ず必要なので、中国語で受けるからといって英語を勉強しないのは得策ではない。となると結局英語も勉強するのだから英語で受けたほうがいいことになる。よって個人的には英語でうける前提で差し替えで中国語を使うべきだと思う


本来なら中国語受験者を増やしたいのだが予想外の失敗を避けるためにもある程度の実力は必要である。

🇫🇷東京大学差し替え受験について

執筆者:せん

 

※注意※

以下の記事は2020年度に受験した中の人が書いたものであり、主観的な内容も一部含まれます。また、最新の情報は必ずご自身で、大学のホームページにて確認してください。

 

〇フランス語差し替えを決意するまで

私は中高一貫の私立高で計4年間フランス語を学んでいました。

そのうち中学時代の3年間は必修として本当に基礎的なことの学習であり、実質的な学習期間は一年間(週2コマ)といえるでしょう。そして高校一年で仏検3級を取得しました。

その後、高2・高3では一切フランス語の勉強をせず、現役の時は英語受験をしたのですが、結果は64点。英語がこれ以上伸びるとは思えなかったので、浪人生にしてフランス語の勉強を再開し、差し替え受験を決意しました。

 

 

〇フランス語差し替え受験のメリット・デメリット

・メリット

一番大きな点は、第4問、第5問にかける時間を削減できることです。ご存じかと思いますが東大英語の難しさは内容というよりも厳しい時間制限にあります。そこでフランス語に差し替えることで残りの部分に掛ける時間を増やすことができます。(とはいえ時間を短縮できるかどうかはその年の問題次第なところも。詳しくは後述。)特に私の場合4Aの正誤問題は完全に捨てていましたので、フランス語差し替えにメリットを感じました。(4Bもかなり特化した対策を求められるので差し替えは勉強時間の短縮につながるかも。)

二つ目は、入学後の第二外国語の授業で高得点を狙える点です。フランス語受験者は入学後初級フランス語を履修することができませんが、フランス語差し替え受験者は可能です。差し替え受験で合格できるくらいのフランス語力があればまず第二外国語の授業で困ることはないでしょう。進振りのため好成績を目指すのであれば、最低週3コマある2外の授業で楽に高得点が取れるにこしたことはありません。

3つ目は点数が取りやすいということですが、これは世間で言われているほどではないように感じます。そもそも問題がフランス語受験者と同じであるため、特に第4問は簡単とは言いづらいです。おそらく採点基準までフランス語受験者と同一ということはないと思うので、難しすぎるとも言えないと思いますが……。

 

・デメリット

いわずもがな勉強科目が増えることです。第3外国語を初修することにはかなりの時間・労力がかかる、と思います。他の科目の完成度には寄りますが、現役生が3年生から差し替えを考えるのは現実的ではないのかな、とは感じます。

二点目として、フランス語(差し替え)で受けることができる規模の大きな模試はありません。そのため受験生の中での自分の順位を把握するということができないので、勉強計画が立てづらい、ということがあり得ると思います。

 

 

〇勉強法・難易度

以上で述べた通り、私は高校時代にフランス語の初歩を学び、受験フランス語については独学でした。浪人生の4月ごろからフランス語の復習を行い、6月の仏検で準2級を取得しました。当時使っていた参考書は『フランス文法総まとめ問題集』(白水社)と『《仏検》3・4級必須単語集』(白水社)です。特に後者は基礎的な単語に対し、複数の用法がまとめられており第5問を解くうえで必須といってもいいでしょう。受験本番までお世話になりました。あとは公式の仏検対策本も学習しました。

そして秋ごろから本格的な受験対策を始めました。この時期は主に『新・リミュエール』(駿河台出版社)、上で紹介した単語集の続編である『《仏検》準1・2級必須単語集』(白水社)を使用しました。『新・リミュエール』は初学者向けとは言いづらいですが、とても優秀なフランス語参考書です。特に練習問題の質がいいのでこの本をすみずみまで学習すれば受験に必要な知識は身につくと思います。単語集に関しては、2級までで挫折しました。フランス語の語彙の多くは英語に流入していますので、英単語をしっかりと学習していれば理解できることが多いです。また、注なしで単語集に乗っていないような単語が出ることも多いので、単語帳とにらめっこするより文脈から推測する力を訓練する方が重要かもしれません。(とはいえ、より多くの単語を覚えるに越したことはありません。他教科の成績と鑑み、時間が許せば。)

また、フランス語の辞書は必須です。私はアプリ版のプチロワを使っていました。なかなかお高いですが、それに見合うだけの使い勝手だと思います。電子辞書でも追加のSDカードを購入するとフランス語の辞書が使えるようになりますので、そちらでもよいと思います。

 

〇過去問について

上記と並行し、秋ごろから過去問に取り組みました。私は塾や学校に伝手がなかったので東大新聞のバックナンバーを取り寄せ、過去問を入手しました。某フリマサイトなどで出回ることもあるようです。私は10年分を3回とき、本番に臨みました。

10年ほど前に差し替えと2外の問題が統一され、現在はフランス語のテスト問題の第4問、第5問を差し替えで解くことになっています。ですので詳しい内容についてはフランス語の記事をお読みください。差し替えの観点から言うと、第4問はかなり年度によって難易度の差があります。私が実際に受験した2020年の問題はかなり難しく、準2級、2級くらいのフランス語力では正直厳しかったです。差し替えの利点は英語の問題に時間を使えるということにあると思うので、第4問が難しかった場合、時間をかけすぎないほうがいいかもしれません。第5問は毎年出題が似ていますので全問正解も可能だと思います。

 

〇まとめ

・英語が苦手、フランス語のモチベが高い人におすすめ

・高3からの勉強は厳しい

・独学は可能

 

フランス語差し替え受験は、英語が苦手で、しかも受験に向けて余裕がある人にはお勧めできると思います。フランス語というのは国連でも用いられる言語ですので勉強して損になることは絶対にありません。現役生でも数学、国語(古典)が得意で、社会がある程度終わっている人なら一考の価値はあると思います。また、私は語学教室に通うことはなく、フランス語の質問ができる環境があるわけでもありませんでした。ですので完全に独学でも不可能ではないと思います。近年では様々なSNSを通じて、フランス語学習者や母語話者とも連絡を取ることができます。ぜひ有効に活用してみてください。最後にお伝えしますと、私は2020年、外国語の点数は71点で文科一類に合格しました。第4問に全く手ごたえがなかった割には、点数が取れたかなと思います。東大の二次試験における7点は想像以上に大きいです(この7点があれば現役時代合格していましたから)。この記事が差し替え受験を考えている方の参考になれば幸いです。

🇫🇷慶應大学法学部について

執筆者:H(ブログ管理人)

 

○注意
慶應大学法学部では、2022年度から一般入試でフランス語の利用ができなくなります。
詳細は必ず、下記リンクおよび公式ホームページの通知を見て確認してください。

 

https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/news/files/2019/6/14/20190614_law.pdf

 

過去問はインターネット上で入手することは出来ません。流石に閲覧させてもらったり、郵送してもらったりすることはできると思うのですが…学校や予備校を頼ることができない人は、直接問い合わせてみてください。


○概要・試験形式
慶應大学法学部の入試は同大学文学部と並び、最も難しいといえます。文法、単語、熟語全てにおいて最も要求されるレベルが高いです。
合格者への開示がないためどの程度の点数がつけられているかは分かりませんが、8割できたら上々ではないでしょうか。

 

第1問
長文問題。B5 1.5枚程度の文章。
(1)は段落ごとの見出しを、日本語20字以内で作成する。
(2)は下線が引かれた2〜3箇所各数行を日本語訳する。

第2問
仏文和訳。10行程度。

第3問
動詞の活用問題。括弧に入った動詞の原形を、文章に当てはまるように書き換える。10問程度。

第4問
前置詞または熟語の穴埋め問題。語群があり、その中から一度ずつ用いて文章の穴を埋める。10問程度。

第5問
年によって問題が変わる。大体は一語の穴埋め。語群の有無は年によって変わる。

第6問
元々和文仏訳だったが、2019年度から形式が変化。10行程度の仏文を読み、それについてフランス語で自分の意見を書くという形式になった。18行の解答欄に5行以上。


○対策
前に書いた通り難易度が高く、時間にもあまり余裕がないです。よって、和訳や仏訳をスムーズに行うことが重要になります。
第1問や第4問の難易度によって出来がばらつくかもしれませんが、知らなかった単語や熟語を最後まで暗記する努力をするのが大切だと思います。
ここから各設問ごとの傾向を書いていきますが、特に中の人の主観が強くなるのでご注意ください。

第1問
(1)段落によっては内容が取りにくいこともあり、中の人は最悪分かった部分だけを要約していましたが…それで良かったのかは不明。
(2)は高得点を狙うことができると思います。見慣れない単語が出てくるかもしれませんが、空白または適当に推測した単語を入れて訳しきるのがおすすめです。

第2問
単語や熟語は他に比べ簡単なので、構造に気をつけて誤訳がないようにしましょう。

第3問
点の稼ぎ所なので、満点もしくは1ミスくらいに。

第4問
年度によって難易度の差が激しいです。最も難しかった年度だと、1、2問しか確証が持てないということもありました。語群が与えられているだけにあれこれ悩みやすいですが、ここで時間を浪費しないようにした方がいいと思います。

第5問
最近は易化しています。過去数年分を見ると、問題自体が分かりにくいなど、高得点が望めない年もあります。

第6問
新しい形式である前提で書きます。過去2年間、問われているトピックはそこまで難しくありませんでした。ただ、人によっては5行埋めるのが難しいかもしれません。
対策はとりあえず長い熟語表現を使って埋める、とか「隙あらば自分語り」をするとかでしょうか…私にも分かりません。

🇫🇷東京大学二次試験について

執筆者:H(ブログ管理人)

 

※注意※

以下の記事は2020年度に受験した中の人が書いたものであり、主観的な内容も一部含まれます。また、最新の情報は必ずご自身で、大学のホームページにて確認してください。

 

 

○内容

東大の二次試験でフランス語を使う方法は、「全仏受験」と「差し替え受験」の2パターンがあります。

差し替え受験は英語の一部とフランス語の一部を受験する方法で、点数が伸びやすいと言われているようです。

全仏受験は第1問~第5問からなり、差し替え受験の人は第4問、第5問を解答します。

 

 

第1問

要約問題。B5 1枚程度の長文を読み、日本語200字で要約。

 

第2問

和文仏訳問題。10行弱で、オリジナルではなく日本語の小説やエッセイから出題されるため難易度は年によってばらつきがある。

 

第3問

仏作文問題。単語が1語指定されており、それが含まれる熟語などを使って和文仏訳を行う。

 

第4問

仏文和訳問題。10行弱。

 

第5問

仏語書き換え問題。「~を用いて」などの指示に従って文章を書き換える。

 

解答時間、配点は英語と同じです。ただしリスニングはありません。

 

 

○勉強方法・難易度

私はフランス語を高校で3年間第一外国語として勉強し、その上で高2の秋からフランス語受験の塾に通いました。(関東の方は是非調べてみてください、良い塾です)使った教材も、全て学校と塾で揃えていただきました。

フランス語受験に特化した単語帳や文法書は市販されていません。そのため、「英語が苦手だから」「東大受験で高得点を取ること」だけを狙ってフランス語受験に挑戦するのは非効率的な気がします(個人の感想です)

フランス語に興味がある今高1、もしくは高2だがフランス語に十分時間を割けるという人、フランスからの帰国子女には良いと思います。(あとは仮面浪人していて、そこで学んだ第二外国語を差し替え受験で使ったという他言語受験の人がいましたが…フランス語の場合は差し替え用の問題も難しいので、それでどこまで点数が伸びるのかは不明)

 

私が過去問を解いたり、受験したりした経験から主観で言うと、東京大学のフランス語は慶應大学の法学部・文学部より簡単です。上智大学と比べると微妙で、単語のレベルや読む速度は上智の方が要求されます。対して東大は「簡単なことを完璧に」という感じの問題です。どちらが難しいと感じるかはその人の能力によると思います。

また他の科目と同様、全問記述です。文法事項や単語を丁寧に暗記し、それを発揮することができれば安定して高得点を取ることができます。

ちなみに、英語と異なり大体の人は時間にゆとりがあります…私は3回見直しができました。

仏検とは形式が異なるため比べることはできませんが、私の在学していた某高校では2級まで持っている人が多かったです。他校では準1級に受かっていれば東大に受かるというジンクスがあるらしい。ご参考までに。

 

文法は接続法、条件法などを含め一通り出題されます。単純過去は少なくとも直近10年は出題されていないと思います。

単語は専用の単語帳がないので、仏検用のものなどを使うことになります。私は使ったことがありませんが、2級~準1級レベルかと思います。

過去問は著作権の関係上、東京大学のホームページには公開されていません。直近3年分は直接キャンパスに赴けば開示してくれるようです。(詳しくは公式ホームページへ)

また東大新聞に過去問が掲載されているらしく、そのバックナンバーを探したという知り合いもいました。

はじめに

執筆者:H(ブログ管理人)

 

ここは、英語以外の言語で受験を経験した大学生が情報をまとめたブログです。

 

現時点では、2020年に東京大学に合格した学生が

・ドイツ語

・フランス語

・中国語

での受験について記事を書く予定です。

 

他言語での受験は情報が少ないのが現状です。

このサイトを通して、他言語受験を考える受験生のお役に立ちましたら幸いです。

 

なお、このブログに書いてある情報は全て、中の人が体験を元に書いたものです。

誤った情報を記載しないよう注意を払ってはいますが、必ず各大学の公式サイトを御自身で確認してください。

また、記事の投稿後に試験内容の変更があっても責任を負えませんのでご了承ください。

 

2020.4.18

 

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